『MIU404』第4話(ミリオンダラー・ガール)を深読みする

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TBSドラマ『MIU404』第4話は、さまざまなエピソードや伏線がてんこ盛り。ユーモラスなシーンも織り込んでスピーディかつ緻密な構成で展開する心に残る物語でした。さらに楽しむため、ドラマには明示されなかった設定を個人的に深読みしてみました。

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『MIU404』の概要

TBSの金曜ドラマ『MIU404』は6月26日から始まりました。当初4月10日から放映開始予定でしたが、新型コロナの影響で撮影が中断したため、3か月近く遅れてスタートしました。

MIUとは

“MIU”はMobile Investigative Unit(機動捜査隊)の頭文字です。機動隊ではなく機動捜査隊。話すときはMIUは使わず「機捜」と呼ばれています。機捜の勤務形態は24時間勤務の三交代制で、刑事事件の初動捜査を主に担当しているそうです。

実在する警視庁刑事部の機動捜査隊は3部隊制ですが、このドラマでは新設されたばかりの架空の第4機動捜査隊(略称:4機捜)が舞台になっています。設定が2019年になっているのは、新型コロナ流行中の今年にすると何かと不都合があるのではと憶測しています。第4話の設定は2019年5月17日です。

Jiji
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2019年設定には理由があったのだ。働き方改革関連法の施行(2019年4月~)に合わせたそうなのだ。

レギュラー出演者

毎回登場する4機捜メンバーは、隊長を含めて次の5名です。

出演者役名階級担当出身地誕生日
綾野剛あやの ごう伊吹藍いぶき あい巡査部長機捜404茨城県1984年5月20日
星野源ほしの げん志摩一未しま かずみ巡査部長機捜404東京都1984年7月8日
岡田健史おかだ けんし九重世人ここのえ よひと警部補機捜401福岡県1995年12月18日
橋本はしもとじゅん陣馬耕平じんば こうへい警部補機捜401兵庫県1964年9月21日
麻生久美子あそう くみこ桔梗ききょうゆづる警視4機捜隊長
1機捜隊長兼任
鹿児島県1974年10月4日
Jiji
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出身地・誕生日はドラマの中の設定なのだ。伊吹と志摩は実年齢より若く、九重と桔梗隊長は実年齢より4歳年上の設定なのだ。

スタッフ

『MIU404』のスタッフは同じ金曜ドラマ『アンナチュラル』(2018年1~3月放映)のスタッフが再集結しました。

脚本野木亜紀子のぎ あきこ
プロデュース新井順子あらい じゅんこ
演出塚原つかはらあゆ子
竹村謙太郎たけむら けんたろう
加藤尚樹かとう なおき
音楽得田真裕とくだ まさひろ
主題歌米津玄師よねづ けんし「感電」

放送日

うちにはテレビが無いので、TVerの見逃し配信で視聴しています。第4話は何度も見返しました。

話数放送日サブタイトル演出
第1話6月26日激突塚原あゆ子
第2話7月3日切ない願い塚原あゆ子
第3話7月10日分岐点塚原あゆ子
第4話7月17日ミリオンダラー・ガール竹村謙太郎
第5話7月24日夢の島竹村謙太郎
第6話7月31日リフレイン塚原あゆ子
第7話8月7日現在地加藤尚樹
第8話8月14日君の笑顔竹村謙太郎
第9話8月21日或る一人の死塚原あゆ子
第10話8月28日Not found竹村謙太郎
最終話9月4日ゼロ塚原あゆ子

第4話について【思いっきりネタばれしています】

あらすじ

白昼、銀座で拳銃による殺人未遂事件が発生。撃たれた女性は追手を何とか振り切り、近くの薬局に駆け込んでケガの応急処置をしたあと、大金の入ったスーツケースを持って姿を消します。薬局で渡した一万円札の指紋から、女性は前科一犯の青池透子あおいけ とうこと分かり、さらに捜査を進めた結果、働いていたPCショップ(暴力団がらみ)から横領した一億円を持って逃げたことが判明します。青池は羽田発バンコク行きの航空券をネット予約して、羽田行きのリムジンバスに乗車。さらに青池を撃った暴力団員も同じバスに乗ったことが判明します。バスは警察の指示で高速を途中で下りて、追いついた伊吹と志摩がなんとか暴力団員を逮捕しますが、すでに青池は息絶えていました。そして、スーツケースの中の一億円は消えていました。

感想を先に

今回の主人公・青池の生きざまに感動しました。そしてキャストとスタッフの皆さんには感謝しかありません。綺麗にだましてくれた脚本家・野木さん、ありがとう。素晴らしい演技で青池の幸せの物語を表現してくれた美村里江みむら りえさん、ありがとう。「感電」を作曲した米津さん、ありがとう。新型コロナによる撮影中断を乗り越えて番組を届けてくれたスタッフ・キャストの皆さん、ありがとう。

目的達成の手段として、伊吹と志摩の乗るメロンパン号と青池が編んだウサギの編みぐるみが大活躍したところも、伏線も含めて出色の出来でした。出血と看板とルビーの赤い色も鮮烈でした。そして桔梗隊長の出番がいつもより多めの回でした。

Jiji
Jiji

メロンパン号(404号車)は、番組予告の最後にちょこっと出て来るのだ。

青池は何を考えて、どこに向かってるんだろう

横領を含めた一連の事件の中で、青池の感情や思考が変化していきます。短いシーンの積み重ねですが、それぞれのシーンを美村里江が見事に演じていました。主題歌「感電」のサビのフレーズ「たった一瞬の このきらめきを」が重なった青池の最期は、感動のクライマックスシーンでした。

今回の出演について美村は、「何よりまず野木さんの脚本作品に出られるということで、ご依頼が大変うれしかったです。そしていざ脚本を読むと、生き生きとした台詞を交わすレギュラー登場人物たちの中で、透子はほとんど台詞がなく、しかし内に秘めたものは多く深い。役者としてやり甲斐のある役を頂戴したなと、再びうれしい思いでした。第4話は透子の“幸せ”の物語です。透子と私は4カ月近く共に過ごしたので、彼女の気持ちを余すところなく代弁したい想いで演じました。彼女の感情に対面したあとで、皆さんの心に何か湧いてくるものがあれば幸いです」と語っている。

番組公式ホームページのお知らせ(https://www.tbs.co.jp/MIU404_TBS/news#n20200712)より引用

美村さんのコメントのとおり、青池のセリフはわずかで回想シーンのつぶやきの方が多いぐらいです。少ないセリフと表情や動きで表現しているので、視聴者が青池の感情や思考に想像をめぐらす余地が残されていて、何回も見返したくなります。

以下に青池の思考や感情の変化をまとめました。一部、私の想像が入り込んでいます。

失望

『わたしはまた、ボー(暴力団)の下で働いてたのか』『ようやく普通の生活を手に入れたと思っていたのに』

前科がついた2年前の裏カジノ事件では、青池は気づかないうちに暴力団の罠にはまって犯罪に加担させられました。今度は普通の会社に就職できたと思っていたのに、マネーロンダリングの片棒をかつがされていることに気づいて失望します。幸か不幸か裏カジノ事件の経験があったから気づけたのですが、気づいたときの青池の泣き顔が切ない・・・。

意趣返し

『汚いお金が綺麗なお金に、ロンダリングリング♪』

『全然バレない。楽しくなってきた』『わたしはまた、すっかり汚れてしまった』『どうせ汚いお金だ。汚いわたしが使って何が悪い』

しばらくすると、青池は肝がすわってて頭の回る賢い人だから、暴力団への意趣返しとして横領という犯罪行為に手を染めます。今度は自分の意思で手を汚します。

焦り

いかにも暴力団員という風情の男たちが自分を探しに来たのを見て、青池は横領がバレたことを悟って急いで逃亡しました。決断が速かったのは、普段からバレる可能性も考えていたからか、もうすぐ逃亡する予定だったからだと思いますが、すぐに見つかって撃たれてしまいます。このときに不吉な考え(捕まるかもしれない、死ぬかもしれない)が頭をよぎっても不思議ではありません。

でも、簡単には諦めません。ケガの応急処置をするため、近くの薬局に駆け込みます。

「おつりは要らない、だから手伝って」「お願い!急いでるの!」

開き直り

青池は薬局の防犯カメラを睨みつけていました。暴力団だけでなく警察にも追われることを覚悟した瞬間かもしれません。

応急処置のあとに薬局の店員から「病院に行った方が・・・」と勧められた時、まるで他人事のように青池がつぶやきます。

「賭けてみます。今まで勝ったことないけど。」

警察に行けば命は助かりますが、今度はおそらく刑務所行き。普通なら命を優先して警察を選択するところですが、青池は命を危険にさらしてでも警察には頼らず自分に賭けることにしたのでしょう。

高揚感

逃亡中に寄りかかった看板に青池がふと目をやった瞬間、苦痛に歪んでた表情がみるみる変わります。

《逃げられない、何もできない、少女たちに》

《逃げられない少女たちを救って下さい》

募金を募る看板を見て、青池にとっての最優先事項が、ただ逃げることから少女を助けることに変わった瞬間でした。今の自分だから出来ることを発見した驚きと高揚感。このとき、自分が死ぬかもしれないという現実は、青池にとって二の次になったような気がします。

極上の嬉しさ

EMD(国際宅配便の会社)の窓口のシーンでは、嬉しさダダ漏れの青池の笑顔と饒舌ぶりが印象に残りました。笑顔だけでこっちまで幸せを感じるようでした。

安堵

『もう死ぬみたい』『私が助ける』『最後にひとつだけ』

青池はバスの中で自分の死期が迫ったのを悟り、つぶったー(ツイッターに似たSNS)に最後の書き込みを綴ります。自分が死ぬことによって、追手が編みぐるみに気づくことはないと確信します。

その瞬間、羽田に向かって走っていくEDMのトラックが目に入ります。達成感と安堵から、青池は柔らかな笑顔を浮かべて、バスに揺られながら間もなく息絶えました。この時の笑顔も幸福感あふれる素敵な笑顔でした。

設定を深読み

『MIU404』の脚本(台本)は緻密なので、表に出てこなかった細かい設定があるように思います。そのような設定を勝手に妄想してみました。

まず青池の行動を整理

第4話のストーリーは、次のような3段階で進行していきます。

  1. 事件当日の出来事をほぼ時系列どおりに見せる。
  2. つぶったーを読み上げ、回想シーンとして事件当日より前の青池の様子を見せる。
  3. 消えた一億円の行方を追いながら、1で見せなかった青池のシーンを見せる。

ドラマでは事件当日の出来事が時間軸を往復していて結構ややこしいので、時間の流れに沿って整理しました。1では描かれず、3で明かされたシーンに黄色の下線を引きました。

事件当日の出来事
  • 11時09分
    暴力団員:青池を探しに来る@PCショップACE

    伊吹と志摩の午後の聞き込みで判明します。青池は隠れて難を逃れます。時間は防犯カメラ映像から。

  • 11時**分
    青池:横領した大金を持って逃走開始@PCショップACE

    伊吹と志摩の午後の聞き込みで判明します。

  • 11時半頃
    青池:暴力団員に撃たれる@路地

    時間はニュース放送の内容から。

  • 11時57分
    青池:ケガの応急処置に駆け込む@ヤマガタ薬局

    時間は防犯カメラ映像から。

  • 12時**分
    伊吹・志摩:聞き込み@ヤマガタ薬局

    防犯カメラ映像を巻き戻した時に、青池が薬局から出て行ってから伊吹と志摩が来るまで、あまり時間が経っていないことが分かります。

  • **時**分
    青池購入したルビーをウサちゃんの目に入れる@柘榴宝石店

    宝石店での青池のシーンは、編みぐるみのウサギの目にルビーを押し込む手元のアップしかありません。いつ、どのタイミングで宝石店に行ったのかは不明です。ただ、宝石購入は予定の行動なので早めに行くのが自然に思えます。看板を見つけたあとでは、バスに乗るまで1時間半程度しかないので、宝石購入、ウサギの発送手続き、チケット購入を移動しながら全部済ませるには時間が足りないと思います。

  • 14時20分
    伊吹・志摩:聞き込み@PCショップACE

    時間は店内の時計から。

  • **時**分
    青池:赤い看板@(銀座のどこか)

    最初は思わせぶりなカットだけでした。看板全体が見えてガールズインターナショナルの看板と分かるのはあとからです。

  • **時**分
    青池ウサギの編みぐるみの発送手続き@EMD窓口

    国際宅配便の受付窓口です。

  • 16時05分
    青池:羽田発バンコク行き航空券をネット予約

    青池のシーンはありませんが、隊長への報告から判明。

  • 16時**分
    青池:リムジンバスのチケットをネット予約・購入

    青池のシーンはありませんが、乗車時にスマホを見せていたので、バスのチケットもネット予約したと推測しました。

  • 16時35分
    青池:リムジンバスに乗車@バスターミナル

    防犯カメラ映像から判明。

  • 16時**分
    暴力団員:リムジンバスに乗車@バスターミナル

    防犯カメラ映像から判明。

  • 16時50分
    リムジンバス:発車@バスターミナル

    定刻どおり発車。防犯カメラ映像にも映っていたはず。

  • 17時**分
    青池EMDのトラックに気づく@空港西出口の手前
  • 17時**分
    リムジンバス、404号車:高速道路を下りる@空港西出口
  • 17時**分
    暴力団員とPCショップ社長を逮捕

おもてに出てこなかった設定を深読み

もとから青池は海外逃亡するつもりではなかった

私の妄想では、青池が考えたウサギの目としてルビーを埋め込むというアイデアは、単に身軽になるためという設定です。国外に逃げても暴力団は一億円を取り返すために追いかけてくるでしょうから、現金を宝石に替えて編みぐるみでカモフラージュした方が持ち運びに便利ということです。

後半に「現金持って出国はできない」という桔梗隊長のセリフが出て来ます。信頼感の高いキャラの発言なので信じてしまいがちですが、実際には申告さえすれば高額の現金でも国外に持ち出すことは可能です(多少怪しまれるかもしれませんが)。

青池はどこへ行くか、まだ何も決めていないようでした。海外逃亡をにおわせていたのはスーツケースの中のパスポートですが、海外逃亡を計画していると視聴者に思わせるための小道具のような気がします。

追手(暴力団と警察)に気づかれるように、青池は航空券とバスを予約した

私の妄想では、外国に高飛びする計画だと追手に思わせるために、青池はわざと航空券を予約しリムジンバスを利用したという設定です。実際に航空券を予約したために警察も暴力団も動き出します。19時まで逃げるだけなら、へたに動き回るより、どこかにじっと隠れている方が見つかる可能性は低いはずです。移動するにしても電車やタクシーの方が見つかりにくいですし。

わざわざ追手に捕まる危険をおかした理由は、自分の命がもう長くはもたないと考えたからではないでしょうか。

青池はタイ行きの飛行機に乗るつもりはなかった

私の妄想では、青池はウサギの編みぐるみを積んだ飛行機を空港で見送りたかったという設定です。ルビーを購入したので、手元の現金は多くても数十万円しか残っていないはずです。海外で暮らすには心許ない金額です。結果的に空港へは行けませんでしたが、運よくバスから見送ることができたので、さぞかしホッとしたことでしょう。

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