親が亡くなった直後はバタバタしますが、火葬が終わると一段落します。
亡くなった後に必要になる公的年金関連の手続きには、年金受給者だった場合の諸手続きや遺族年金の請求手続きがあります。
公的年金の受給者が亡くなったとき
故人が公的年金を受け取っていた場合、年金受給停止や未支給年金請求の手続きを年金事務所または街角の年金相談センターで行います。日本年金機構のホームページから用紙をダウンロードできるので、郵送による手続きも可能です。
年金受給の停止
故人が年金を受け取っていた場合、年金の受給を止めるために、年金受給権者死亡届の提出が必要です。添付書類は次のとおり。
- 年金証書
- 死亡の事実を明らかにできる書類(例:死亡診断書(死体検案書)のコピー、住民票の除票、戸籍抄本、死亡届の記載事項証明書)
なお、故人のマイナンバーが日本年金機構に収録されている(マイナンバーと基礎年金番号が紐づけされている)場合には年金受給権者死亡届を省略できます。
未支給年金の請求
年金受給者には亡くなった月の分まで年金を受け取る権利があります。年金は2か月分が翌月にまとめて後払いされる仕組みなので、未支給年金(偶数月に亡くなった場合は1か月分、奇数月に亡くなった場合は2か月分)が必ず発生します。これを受け取るには、以下の書類を添付して未支給年金・未支払給付金請求書を提出します。未支給年金を受け取れるのは、生計を同じくしていた三親等以内の親族に限られ、順位も定められています。
- 年金証書
- 故人と請求者の続柄が確認できる書類(例:戸籍謄(抄)本、法定相続情報一覧図の写し)
- (故人と請求者が同一世帯の場合)故人の住民票の除票および請求者の世帯全員の住民票
- (故人と請求者が別世帯の場合)生計同一関係に関する申立書
- 預貯金通帳(コピー可、キャッシュカードでもよい)

生計同一関係に関する申立書には、第三者(例:隣人、町内会長、施設長、施設職員、民生委員)による証明欄があり、住所・氏名の記入と押印が必要なのだ。
請求から概ね3~4か月で日本年金機構から給付決定通知書(または不該当通知書)が送付されます。未支給年金は、支給決定通知書が送付されてから約2か月で支給されます。
未支給年金の請求権は5年間なので慌てる必要はありませんが、忘れないうちに手続きを済ませましょう。
遺族年金の請求
遺族年金は、故人が受給要件に該当する場合、故人によって生計を維持されていた遺族に支給される年金です。請求手続きは年金事務所または街角の年金相談センターで行います。
遺族年金の受給対象となる子・孫は、次のどちらかの要件を満たしている場合に限られます。結婚している場合は対象外です。
- 18歳になった年度の末日を経過していない子・孫
- 20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にある子・孫
本記事中ではカッコ付きで「子」「孫」と表記します。
遺族基礎年金
遺族基礎年金は、故人が次の受給要件のいずれかに該当する場合に支給される年金です。支給期間は、「子」が受給要件を満たしている間です。
- 故人が国民年金保険の被保険者
- 故人の老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上
受給対象の遺族と、その受給権の順位は次のとおりです。
- 「子」がいる配偶者
- 「子」
遺族厚生年金
遺族厚生年金は、故人が次の受給要件のいずれかに該当する場合に支給される年金です。
- 故人が厚生年金保険の被保険者
- 故人の老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上
- 故人が1級・2級の障害厚生年金を受給
受給対象の遺族と、その遺族の受給権の順位は次のとおりです。ただし、「子」のいない夫、父母、祖父母については55歳未満は対象外です。
- 配偶者、「子」
- 父母
- 「孫」
- 祖父母
遺族厚生年金の支給期間は次のとおりです。
対象となる遺族 | 支給期間 |
---|---|
「子」のいる配偶者 | 「子」が受給要件を満たしている間 (遺族基礎年金も併せて受給可能) |
「子」 | 受給要件を満たしている間 (遺族基礎年金も併せて受給可能) |
「子」のいない妻(30歳未満) | 5年間 |
「子」のいない妻(30歳以上) | 生涯 |
「子」のいない夫(55歳以上) | 60歳から生涯 |
父母(55歳以上) | 60歳から生涯 |
「孫」 | 受給要件を満たしている間 |
祖父母(55歳以上) | 60歳から生涯 |
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