去年12月に父が亡くなり、生涯で初めて死亡保険金の請求・受取を経験しました。
誰でも生命保険の保険金を受け取る機会は一生に一回ぐらいあるのではないかと思い、参考に今回の経験を記事にしました。
死亡保険金の請求について
受け取れる保険金等
生命保険や医療保険では、契約者、被保険者、受取人という3種類の立場の人がいます。
契約者 | 保険料を支払う人 |
被保険者 | 保険の対象となる人 |
受取人 | 保険金を受け取る人 |
生命保険や医療保険の被保険者が亡くなった場合、加入していた保険の種類によって次の表のように保険金、給付金、年金が受け取れます。※印の保険金等の金額は少額です。
保険の種類 | 受け取れる保険金等 |
---|---|
終身保険 | 死亡保険金 |
定期保険 | 死亡保険金 |
収入保障保険 | 年金 |
個人年金保険 | 死亡給付金(保険料払込期間に死亡) 年金または一時金(年金受取期間に死亡) |
養老保険 | 死亡保険金 |
医療保障保険 (契約に含まれている場合) | 死亡保険金※ |
特定疾病保障保険 | 死亡保険金 |
がん保険 | 死亡保険金(がんで死亡) 死亡給付金※(がん以外で死亡) |
請求手続き
被保険者が亡くなったら、受取人(または契約者)が保険会社に連絡します。保険料の支払いが続いている場合は、支払いを停止する必要もあるので早めに連絡しましょう。
もし受取人が既に亡くなっていた場合、保険金は受取人の法定相続人が受け取ります。保険金等の請求手続きは、相続人全員の合意を得た上で代表相続人が進めます。
手続きの流れ
- 故人が亡くなったことを保険会社に連絡する
- 保険会社の指示に基づいて必要書類を準備する
- 保険会社に書類を提出する
- 死亡保険金等を受け取る
必要書類
請求手続きには、次の書類が必要です。※印は保険会社が所定の用紙を用意しているものです。
- 請求書※
- 死亡証明書※(死亡診断書(死体検案書)のコピーで代用可の場合あり)
- 被保険者の死亡記載がある戸籍謄(抄)本または住民票
- 事故状況報告書※(不慮の事故で亡くなった場合)
- 交通事故証明書(交通事故で亡くなった場合)
- 請求者のマイナンバー提供書類※(保険金等が100万円を超える場合)
- 契約者のマイナンバー提供書類※(保険金等が100万円を超える場合)
改姓・改名の変更の手続きをしていなくて受取人の氏名が旧氏名のままだった場合、改姓・改名の事実が分かる戸籍謄(抄)本が必要になります。
受取人が既に死亡していた場合、受取人の死亡記載のある戸籍謄(抄)本、受取人の法定相続人の印鑑登録証明書、受取人の法定相続人が分かる戸籍謄(抄)本、代表請求者選任届※なども必要になります。
保険金等の金額が少額の場合、省略される書類もあります。
実際の必要書類は、保険会社によっても異なるので、必ず各保険会社の指示に従って準備して下さい。
経験談
去年12月に80代で亡くなった父は、がん保険と終身保険に入っていました。受取人の母は10年以上前に亡くなりましたが、受取人の変更をしていませんでした。受取人の法定相続人は私を含む子2名で、私が代表相続人として請求手続きを進めました。
新型コロナのせいで実家に戻れなかったので、担当の営業所で手続きすることができず、郵送で請求手続きをしました。
がん保険
父はA社のがん保険に1989年に加入していました。主な契約内容は表のとおりです。がん以外で亡くなったので、受け取ったのは死亡給付金の75,000円です。
契約者 | 父 |
被保険者 | 父 |
受取人 | 母 |
保険料 | 月払4,910円(契約時4,610円) |
死亡保険金 | 150万円(65歳未満)75万円(65歳以上) |
死亡給付金 | 15万円(65歳未満)7万5千円(65歳以上) |
保険料の支払いを止める意味もあって、亡くなってから5日後にA社に電話で連絡しました。
提出した書類は、給付金等請求書、代表相続人の戸籍謄本(父母とも死亡記載あり)、代表相続人の身元確認書類(運転免許証)のコピーの3点でした。
感想
少額の請求だったので、必要書類も少なく、戸籍を郵送請求するのに時間と手間がかかったこと以外は楽な手続きでした。押印は、給付金等請求書に認印を押しただけで、実印は不要でした。
終身保険
父はG社の終身保険に1987年に加入していました。主な契約内容は表のとおりです。
保険の種類 | 一時払退職後終身保険 |
契約者 | 父 |
被保険者 | 父 |
受取人 | 母 |
保険料 | 約284万円(加入時一括払) |
死亡保険金 | 約516万円 |
保険料の支払いは終わっていたので、G社に電話で連絡したのは亡くなってから1か月後でした。
提出した書類は、保険金等請求書、死亡診断書のコピー、代表請求者選任届、相続人の印鑑登録証明書(各1通)、受取人(母)の相続人が分かる戸籍謄本(2通、母の死亡記載あり)の計7点でした。
マイナンバー提供書類は、保険金の受け取り後に送られてきました。父のマイナンバー通知カードをコピーして送る必要があるのですが、実家に置きっ放しなので手続きが進みません。
感想
実は、死亡保険金が保険料の1.8倍ということに驚きました。そもそも契約時の死亡保険金は800万円(保険料の2.8倍)になっていました。契約した保険会社は(当然のように)経営破綻して、保険契約はG社に引き継がれたのでした。
手続きについては、がん保険に比べれば必要書類が多かったので、その分の手間と時間がかかりました。
代表請求者選任届に相続人2名の実印と自署が必要だったので、もう1人の相続人に印鑑登録証明の送付と併せて依頼しました。
戸籍謄本や印鑑登録証明書の提出が幸いコピー提出可だったので、原本を別の手続きにすぐ使えて助かりました。
予想外だったのは、故人(父)のマイナンバーの確認書類が必要になったことです。封筒には「返送期限までに対応をお願いします」と書かれていたのですが、中身に「新型コロナウイルスの影響を鑑み、現在は返送期限を設けておりません」と書かれていて一安心。でも、いつ対応できるか見通しは立ちません。
マイナンバー(個人番号)を確認するための書類は、一般的には次のいずれかです。
- マイナンバーカード
- マイナンバー通知カード(住所・氏名が現在と同じもの)
- マイナンバー記載の住民票の写しまたは住民票記載事項証明書
ただし、亡くなった人の場合、住民票の除票の写しにはマイナンバーを記載できないので、マイナンバーを確認するための書類は1または2になります。
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