相続手続きで戸籍謄本を集めるときに役立つ知識

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相続の手続きでは、亡くなった人(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と相続人全員の現在の戸籍謄(抄)本を揃えて、相続人を確認する必要があります。この記事では、戸籍謄本を集める際に役立ちそうな知識をまとめました。

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戸籍とは

戸籍は、出生から死亡までの親族関係の情報が記載された公文書で、本籍地の市区町村の戸籍簿に綴られています。

戸籍の記載事項

戸籍には、次の事項が記載されています。

  • 本籍
  • 筆頭者氏名
  • 戸籍事項(戸籍が作られた日・事由、戸籍が除かれた日・事由)
  • 戸籍内の全員の名、生年月日、父母の氏名、父母との続柄、身分事項

身分事項には、出生、認知、養子縁組、養子離縁、婚姻、離婚、名の変更、氏の変更、死亡などに関する情報(日付、届出日、届出人、場所、従前戸籍、新戸籍など)が記載されています。

戸籍の種類

戸籍には3つの種類があります。

  • 戸籍(現在戸籍)
  • 除籍
  • 改製原戸籍(原戸籍)

普段、戸籍と呼んでいるのは、在籍者がいて使用中の戸籍のことです。厳密に区別したい場合に現在戸籍と呼ばれることもあります。

除籍は、婚姻・死亡・転籍などによって戸籍内の全員が抜けて、在籍者がいなくなった戸籍のことです。

除籍

除籍は別の意味でも使われます。婚姻や死亡などによって戸籍から抜けることも除籍と言います。戸籍謄本を見ると、戸籍から抜けた人の欄には「除籍」と書かれています。戸籍内の全員が除籍になると、その戸籍(現在戸籍)は除籍に変わるというわけです。

改製原戸籍かいせいげんこせきは、法令の改正にともなって戸籍のフォーマットが変更されて作り直した場合の元の(旧フォーマットの)戸籍のことです。「原」と「現」の音が同じで紛らわしいので原戸籍はらこせきと呼ばれることもよくあります。新しい戸籍には、作り直す時点で在籍している人の情報しか引き継がれません

改製

法令の改正にともなって戸籍を作り直すことを改製と言います。主な改製は、昭和32年(1957年)と平成6年(1994年)の法務省令によるものです。実際に作り直すのは何年もあとで、自治体によって異なります。

このほかに、在籍者の住所履歴が記載された書類(戸籍の附票)が戸籍と一緒に保管されています。

戸籍の保存期間

戸籍(現在戸籍)は、使用中の戸籍なので廃棄されることはありません。

除籍と改製原戸籍の保存期間は150年です。これは2010年6月1日に変更されたもので、以前の保存期間は除籍が80年、改製原戸籍は50~100年でした。

附票の保存期間も150年です。これは2019年6月20日に変更されたばかりで、以前の保存期間は5年だったので、保存期間を過ぎている場合は既に廃棄されている可能性があります。

相続手続きに必要な戸籍謄本

普段必要になるのは主に戸籍謄本ですが、相続手続きでは相続人全員を確定するために除籍謄本や改製原戸籍謄本も必要になります。

相続人の範囲

被相続人の配偶者は常に相続人になります。それ以外で相続人になれる親族は次の表ですが、実際の相続人になるのは上位の相続人がいない場合に限られます。

相続順位相続人
第1順位直系卑属(親等が最も近い人)
第2順位直系尊属(親等が最も近い人)
第3順位兄弟姉妹※

※既に死亡していた場合などは、その子(被相続人の甥・姪)が代襲相続人になります。

代襲相続

本来の相続人が被相続人より先に死亡していた場合、あるいは相続欠格や相続廃除によって相続権を失った場合、その相続人の子が代わりの相続人(代襲相続人)になることを代襲相続と言います。第1順位で被相続人の子が既に亡くなっていて孫が相続人になるケースも代襲相続です。

以上のルールに従って法定相続人を確認しますが、相続放棄した人は実際の相続人から除外されます。

相続人を確認するための戸籍謄(抄)本のセット

相続人を確認するには、次の戸籍謄(抄)本が必要になります。

  1. 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  2. 相続人全員の現在の戸籍謄(抄)本

1は被相続人の配偶者、子、父母を確認するために使うので、抄本ではなく謄本が必要です。2は相続人の生存確認用なので、被相続人の死亡日以降に発行されたものが必要です。

さらに、ケースバイケースで以下の戸籍謄本も必要になります(1で確認できる場合は不要)。

  • 上位の相続権を持つ人が亡くなっていた場合、その死亡が記載された戸籍謄本
  • 子が亡くなっていた場合、代襲相続人を確認するための戸籍謄本
  • 父・母が亡くなっていた場合、祖父母を確認するための戸籍謄本

1によって兄弟姉妹もほぼ確認できますが、被相続人が結婚などで戸籍を移った場合には、被相続人の親の死亡までの戸籍謄本も必要になります(1で確認できる場合は不要)。

戸籍謄(抄)本の請求

戸籍謄(抄)本を請求できるのは、原則として戸籍の在籍者とその配偶者・直系尊属・直系尊属です。本人からの委任状があれば、代理人による請求も可能です。

戸籍謄本と戸籍抄本
名称電算化後の名称書類によって証明される事項
戸籍謄本戸籍全部事項証明書戸籍に記載されている全員の身分事項
戸籍抄本戸籍一部事項証明書戸籍に記載されている一部の人の身分事項

電子データ化された現在の戸籍の場合、正式名は全部事項証明書・一部事項証明書ですが、手続きするときには従来どおり戸籍・抄本で通じます。

戸籍謄本は、本籍地の市区町村に請求します。出生から死亡までの間に本籍地が変わった場合は、それぞれの市区町村に請求する必要があります。

戸籍謄本の交付手数料は1通450円、除籍謄本や改製原戸籍謄本は1通750円です。

具体的な請求方法は別の記事に書きました。

戸籍謄本を集めてみて気づいたこと

去年12月に亡くなった父の出生から死亡までの連続した戸籍謄本は全部で4通になりました(下の図の①~④)。交付手数料は合計2,700円でした。

父の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 昭和8年
    出生

    ① 除籍謄本(昭和3年編成、昭和12年消除)

  • 昭和12年
    家督相続

    ② 改製原戸籍謄本(昭和12年編成、昭和40年消除)

  • 昭和35年
    婚姻

    ③ 改製原戸籍謄本(昭和35年編成、平成16年消除)

  • 平成16年
    改製(平成6年法務省令による

    ④ 戸籍謄本(平成16年改製)

  • 令和2年
    死亡

一番新しい戸籍謄本の④には、私が在籍しているので、現在の戸籍謄本になりました。もし私が結婚していたら、戸籍の在籍者がいなくなって、取り寄せる戸籍は除籍謄本になっていたはずです。

死亡届から戸籍に反映されるまでのタイムラグ

通常、死亡届を出してから、戸籍に反映されるまでに1週間程度かかります。役所に出向いて戸籍謄本を請求する場合、焦って早く行っても戸籍に反映されていない可能性があります。郵送請求の場合、死亡まで必要と伝えれば戸籍に反映された後で発行してくれると思います。

戸籍謄本の有効期限

戸籍謄本の末尾には発行日が記されています。相続手続きによっては、発行後〇か月以内のように戸籍謄本の有効期限を指定される場合があります。父の銀行口座の相続手続きでは、発行後6か月以内と指定されたケースがありました。

戸籍の移動を把握するポイント

出生から死亡までの連続した戸籍を集めるには、一番新しい戸籍から古い戸籍へと順番にたどっていきます。

戸籍を移動するタイミングは、認知、養子縁組、養子離縁、婚姻、離婚、改製、転籍、分籍などです。昭和23年以前の旧民法下では、分家、家督相続も戸籍を移るタイミングになります。戸籍を移動した場合には身分事項の中に従前戸籍あるいは新戸籍に関する情報が記載されているので、これを頼りに連続した戸籍をたどります。

古い戸籍は読みづらい

戸籍は古いものほど読みづらくなります。主な原因は、手書きの小さな文字、漢数字(壹、壱、貮、弐、参、拾)の使用などです。戸籍の移動を把握するためには日付を正確に読み取る必要がありますが、つぶれかかった小さな文字で書かれた漢数字の日付を読み取るのはストレスが溜まります。

本籍地の移動が作業量を増やす

被相続人の本籍地が頻繁に変わっていると、あちこちに戸籍を請求する必要があります。父の場合、本籍地がずっと変わらず、戸籍謄本の請求先が1か所で済んだので、手続きがとても楽でした。

世の中には引っ越すたびに転籍する人がいるそうですが、その人が亡くなったときは戸籍を集めるのが大変でしょうね。

市区町村名の変更の把握

市町村合併などで地名が変わった場合、現在戸籍は修正されますが、除籍や改製原戸籍には反映されません。戸籍に記載された本籍の市区町村名が現存しない場合、戸籍の請求先となる現在の市区町村名を調べる必要があります。これは、ウィキペディアで検索すれば解決すると思います。

市区町村名の変更を調べる作業は面倒ですが、請求手続きが楽になることもあります。例えば、以前だったら複数の自治体に請求するところ、合併のおかげで請求先が1か所で済むケースです。

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