相続手続きの流れを分かりやすく紹介

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昨年12月に父が亡くなって、現在も相続手続きの最中です。相続手続きはとても複雑ですが、これまで調べた内容をもとにして、相続手続きの流れについて出来るだけ分かりやすく紹介します。

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相続は死亡によって開始する

亡くなった人の財産を親族(相続人)が受け継ぐことを相続と言います。旧民法では家督の相続もありましたが、現在は相続と言えば遺産相続のことを指します。

遺産

亡くなった人の財産のこと。民法では「相続財産」と表記されています。

相続

亡くなった人(被相続人)の親族(相続人)が遺産を受け継ぐこと。

相続の開始は被相続人が死亡した時点からで、遺産分割協議で合意が成立するまでの間、遺産は相続人の共有財産になります。

相続手続きの流れ

相続手続きは、おおまかに次のリストの順で進めます。1~4は並行して進めることが多く、その後、5の遺産分割協議書の作成を経て、6や7の手続きを行います。期限があるものは要注意です。

  1. 遺言書の有無の確認
  2. 遺産の把握と評価
  3. 相続人の特定
  4. 相続の承認・放棄(相続開始を知った日から3か月以内
  5. 遺産分割協議書の作成
  6. 各種遺産の相続手続き(準確定申告は相続開始を知った日の翌日から4か月以内
  7. 相続税の申告と納付(相続開始を知った日の翌日から10か月以内

6については、遺産分割協議書の作成前でも手続きができるものもあります。

1 遺言書の有無の確認

遺言書がない場合、相続人同士で話し合って遺産の分割方法を決めます。

生前に遺言書が作成されていた場合、原則として遺言で指定された人が遺産を受け継ぎます。この場合、相続ではなく遺贈いぞうと言い、相続とは手続きが異なります。また、関連する用語も異なります(下表を参照)。

用語の意味遺言書なし遺言書あり
亡くなった人が残した財産遺産遺産
遺産の継承相続遺贈
遺産を残した人被相続人遺言者
遺産を受け継ぐ人相続人受遺者

2 遺産の把握と評価

遺産分割を話し合う前に、遺産の全体像を把握する必要があります。財産の種類や内容とその価値を調べます。

遺産には、プラスの遺産(預貯金・現金、不動産、自動車、有価証券、会員権、知的財産権、貴金属、家財など)だけでなく、マイナスの遺産(借金、納税義務など)も含まれますので、マイナスの方が大きい場合もあることに注意が必要です。

また、死亡保険金、死亡退職金などもプラスの財産とみなされます(みなし相続財産)。

3 相続人の特定

遺産分割を話し合う前に、相続人が誰なのか確認する必要があります。

相続人の権利を持つ親族の範囲や順位は民法で決められています。

被相続人の配偶者は常に相続人になります。配偶者以外で相続人になる親族の範囲は下の表のようになりますが、実際に相続人になれるのは上位の相続人がいない場合に限られます。

相続順位相続人
第1順位被相続人の直系卑属(世代が最も近い人)
第2順位被相続人の直系尊属(世代が最も近い人)
第3順位被相続人の兄弟姉妹※

※相続人が相続開始前に死亡していた場合などは、その相続人の子が代わりの相続人(代襲相続人)になります。

直系卑属、直系尊属

血縁関係のある縦のつながりのある親族のうち、自分より下の世代(子、孫、ひ孫など)が直系卑属で、自分より上の世代(父母、祖父母、曾祖父母など)が直系尊属です。血縁関係のない養子、養父母についても、民法上はそれぞれ直系卑属、直系尊属に該当します。

このようにして、民法に則って特定された相続人を「法定相続人」と呼びます。

以上を踏まえて、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を取り寄せて、配偶者・子・父母を確認します。それ以外の相続人を確認する必要があれば、他の戸籍を取り寄せて調べます。

相続人が一人もいない場合は、一定の手続きを経たうえで、遺産は特別縁故者に財産分与されるか国に引き渡されます(国家帰属)。

4 相続の承認・放棄

法定相続人は、プラスよりマイナスの遺産の方が大きい場合などに、相続開始を知った日から3か月以内限定承認または相続放棄することができます。何も手続きをしないまま3か月が経過すると、自動的に単純承認したとみなされて、プラス・マイナスすべての遺産を相続します。マイナスの遺産の方が大きい場合は要注意です。

単純承認

プラスの遺産もマイナスの遺産もすべて相続すること。

限定承認

プラスの遺産の範囲内でマイナスの遺産を相続すること。相続人全員が共同で、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し出ます。遺産の目録を提出する必要があります。

相続放棄

すべての遺産相続を放棄すること。相続放棄すると「初めから相続人ではなかった」とみなされます。被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し出ます。

5 遺産分割協議書の作成

複数の相続人がいる場合、相続人全員が合意するまで遺産の分割方法について協議して、合意に達したら遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は、不動産の移転登記、自動車の名義変更、相続税の申告などで必要になります。

遺産分割協議書

遺産分割協議の結果、相続人の誰が、どの遺産を、どのように引き継ぐのかを明確に記載した文書。決められた書式はありませんが、記載内容に同意していることを証明する相続人全員の直筆の署名と実印の押印が必要です。

6 各種遺産の相続手続き

それぞれの遺産の相続手続きを行います。遺産分割協議書が必須の手続き(※)と、遺産分割協議書の作成前でも可能な手続きがあります。

プラスの遺産
  • 預貯金の解約・名義変更
  • 保険契約の解約・名義変更
  • 不動産の移転登記(※)
  • 自動車の名義変更(※)
  • 有価証券の名義変更
  • 電話加入権の名義変更
マイナスの遺産
  • 借金の返済
  • 納税義務の継承(所得税の準確定申告、住民税の納税など)

7 相続税の申告と納付

相続税は、相続または遺贈によって取得した遺産に課される税金です。

相続税の申告は、取得した遺産の課税価格の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた場合に必要になります。

申告書は、税務署窓口または国税庁のホームページで入手できます。提出先は、被相続人の住所地を管轄する税務署です。郵送による提出も可能です。

相続税申告書の作成・提出は、2019年10月から「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」でも可能になりましたが、ソフトはWindowsパソコンにしか対応していません(2021年4月23日現在)。

Jiji
Jiji

相続税の計算は非常に複雑なのだ。e-Taxは自動計算してくれないので、途中で挫折したのだ。代わりに「AI相続」という無料のウェブソフトを利用して申告書を作成。こちらの方がはるかに使いやすいのだ。

相続税の納付は、原則として現金一括で、各相続人が相続分に応じた額を納付します。納付先は、被相続人の住所地を管轄する税務署ですが、金融機関の窓口で納付するのが一般的です。

Jiji
Jiji

クレジットカード、コンビニエンスストア、税務署窓口でも納付できるが、それぞれ、手数料が掛かる、金額の上限(30万円)がある、現金を持参する必要があるなどの欠点があるのだ。

納付の際には専用の納付書が必要になるので、最寄りの税務署窓口で予め入手しておきます(納付書の郵送請求は不可)。

申告・納付の期限

申告と納付の期限は、どちらも相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。

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