ひとり暮らしをしていた父が去年12月に亡くなり、実家の不動産を相続します。住む予定がないので売却するつもりですが、売却前に名義変更(相続登記)が必要です。
手続きが難しそうだったので司法書士に頼もうと思っていましたが、調べてみたら相続税の手続きより簡単そうなので自分でやることにしました。
不動産登記の基礎知識
不動産(土地、建物)の所在・形状と権利関係は不動産登記簿に記載されて、登記所に保管されています。
不動産を取得した時や登記内容に変更があった時に不動産登記の手続きが行われます。
登記簿は誰でも閲覧できて、登記内容が記載された登記事項証明書(登記簿謄本)の交付も受けられます。
土地登記簿と建物登記簿の2種類があり、現在は磁気ディスクに記録されています。
登記事務を担当する機関のことで、法務局、地方法務局、支局、出張所の総称です。
相続登記の申請手続き
相続による不動産登記の申請手続きのポイントを説明します。
申請書の提出先
登記申請書の提出先は、不動産の所在地を管轄する登記所です。
申請書の提出方法
登記申請書は、窓口・郵送・オンラインで提出できます。
窓口
管轄の登記所窓口に申請書と添付書類を提出します。提出前に相談できるのがメリットです。
郵送
管轄の登記所宛てに申請書と添付書類を書留郵便で送付します。封筒の表に「不動産登記申請書在中」と明記します。

書留郵便は、一般書留・簡易書留のどちらでもOKなのだ。レターパックプラスもOKなのだ(レターパックライトやゆうパックはNG)。
登記完了後に交付される書類や原本還付の書類も書留郵便で送付されます。費用は申請者の負担なので、宛名を書いた返信用封筒と書留郵便料金分の切手を同封します。

申請書を送付する時点では、返信に必要な郵便料金は正確には分からない。
現状では、料金不足にならないように切手は多めに入れておいて、余ったら返送という仕組みになっているのだ。
料金が分からないのでどういう組み合わせで切手を同封すればいいのかも分からない。個人的には、料金が確定したら登記所から申請者に金額を連絡して、ぴったりの額の切手を送付するという段取りにしてもらえると有難いのだ。
それから、レターパックプラスに関しては、返信用にはNGだったのだ。送付用はOKで返信用はNGというのが解せないが、送付先の登記所に事前確認しておいた方がよいのだ(ローカルルールなのか全国ルールなのか不明なので)。
オンライン
専用ソフト(登記ねっと)を利用すると、オンラインで相続登記の申請が可能です。ただ、申請書の作成・送信はできますが、添付書類の多くはオンライン送付できないので別途郵送する必要があります。

オンライン申請の利用環境の事前準備はかなり面倒なのだ。窓口か郵送で申請するのがおすすめなのだ。
申請書の作成に必要な書類(提出不要)
申請書の提出時に添付する必要はありませんが、申請書の作成時に必要な書類です。
登記事項証明書
不動産の表示について登記申請書に記入する際は、登記事項証明書(登記簿謄本)の表題部の記載どおりに記入します。
登記事項証明書は、不動産の所在地を管轄する登記所で交付していて、窓口・郵送・オンラインで請求できます。おすすめは、オンライン請求です。
提出書類
登記所には、登記申請書および次の添付書類を提出します(いずれもA4用紙)。添付書類は、原則として原本を提出します。
- 登録免許税納付用台紙
- 固定資産評価証明書
- 登記原因証明情報
- 住所証明情報
司法書士などに代理申請してもらう場合には、委任状も必要になります。
登記申請書
登記申請書の様式および記載例は、法務局のホームページからダウンロードできます。相続方法(遺言、遺産分割、法定相続)ごとに所有権移転登記申請書(相続)のファイルが掲載されています。
申請人(相続人)の押印は、認印で構いません。
申請書が複数枚になった場合、申請人かその代理人が各用紙の綴り目に必ず契印を押します。

記載例の最後の<解説及び注意事項等>には大切なことがいろいろ書いてあるのだ。読み逃しなく!
登録免許税納付用台紙
相続登記にかかる登録免許税を現金または印紙で納付します。
現金納付の場合、税務署か金融機関で納付して領収証書を台紙に貼り付けます。
税額が3万円以下の場合には印紙納付も可能です。登記所か郵便局で購入して台紙に貼り付けます(割印や消印はしないこと)。
台紙は申請書と一括で綴って、申請人かその代理人が綴り目に必ず契印を押します。
オンライン申請の場合は電子納付が可能です。
固定資産評価証明書
不動産の課税価格を登記申請書に記入する際には、最新年度の固定資産評価証明書に記載された評価額の合計額(1,000円未満の端数は切り捨て)を記入します。
固定資産評価証明書は、市町村の役所(東京都は都税事務所等)で交付していて、窓口か郵送で請求できます。
課税価格は登録免許税の算出にも使います。税額は、課税価格に税率0.4%を掛けて100円未満の端数を切り捨てた額になります。1,000円未満の場合、税額は一律1,000円です。
登記原因証明情報
不動産の相続方法によって添付書類が異なります。
添付書類 | 遺言 | 遺産分割 | 法定相続 |
---|---|---|---|
遺言書 | 〇 | ||
遺産分割協議書 | 〇 | ||
相続人全員の印鑑登録証明書 (遺産分割協議書に押印したもの) | 〇 | ||
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本※ | 〇 | 〇 | |
被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本※ | 〇 | ||
相続人全員の戸籍謄(抄)本※ (証明日が被相続人の死亡日以降のもの) | 〇 | 〇 | 〇 |
相続関係説明図 | 任意 | 任意 | 任意 |
※印の書類は、法定相続情報一覧図の写しで代用できます。
相続関係説明図の提出は任意ですが、提出すると※印の書類の原本還付が受けられます。
登記完了後に添付書類の原本を返してもらう(原本還付)には、返却希望の添付書類をコピーして原本と一緒に提出します。コピーの余白に「原本と相違ない」旨を記入して申請人の署名・押印をします。
このほかに、被相続人の最後の氏名・住所が登記事項証明書の氏名・住所と異なる場合や被相続人の本籍が登記事項証明書の住所と異なる場合には、被相続人の住民票の除票の写し(本籍が記載されたもの)または被相続人の戸籍の附票の写しも添付します。
住所証明情報
不動産を取得する相続人全員の住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの)を添付します。
法定相続情報一覧図の写し(相続人の住所が記載されたもの)を添付すれば、住民票の写しの添付は省略できます。
登記完了後に交付される書類
登記完了後、登記所から次の書類が交付されます。受け取りは登記所の窓口でも郵送でも可能です。
- 登記識別情報通知
- 登記完了証
原本還付の書類がある場合は一緒に返却されます。
登記識別情報は、登記名義人を確認するための情報(12桁の英数字の符号)です。登記識別情報通知の目隠し部分にQRコードとともに記載されています。この情報は、新たに登記を必要とする際に登記名義人の本人確認に使われます。
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