
濃い紫:レベル3(渡航中止勧告)、薄い紫:レベル2
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐため、外務省は出国予定者向けに「感染症危険情報」を出して注意喚起を行っています。
2022年4月1日(金)に感染症危険情報の見直しが発表されて、106の国がレベル3(渡航中止勧告)からレベル2に引き下げられました。
感染症危険情報とは
感染症危険情報は、外務省から出される海外安全情報のひとつです。危険度の高い感染症に関して、海外への渡航・滞在にあたって特に注意が必要と考えられる国・地域を対象に出される情報で、次の4段階のレベルがあります。
危険レベル | 感染症危険情報 |
---|---|
レベル1 | 十分注意してください。 |
レベル2 | 不要不急の渡航は止めてください。 |
レベル3 | 渡航は止めてください。(渡航中止勧告) |
レベル4 | 退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告) |
なお、感染症危険情報には国民の渡航・滞在を制限するような強制力はありません。各自が渡航や退避の判断をする際に参考にして、適切な判断をしてもらうという位置づけになっています。
強制力がないとはいえ、レベル3(渡航中止勧告)にはそれなりの重みがあります。実際、渡航中止勧告の対象となった国・地域は、外国人の上陸拒否対象国・地域にも指定されています。
レベルの見直し
新型コロナ感染症に関する感染症危険情報の見直しの経過を見ると、重視される判断基準が変化してきているようです。
見直しの経過
新型コロナに関する感染症危険情報は、はじめのうち(2020年)は各国の感染状況を踏まえて頻繁に見直しが発表されていました。
しかし、2021年になると見直しはたった3回で、各国の感染状況の変化に対応しなくなっていました。
2022年に入っても同様で、レベル2の韓国では感染爆発があったにもかかわらず、見直しは行われませんでした。
4月1日(金)になって、162の国・地域に対して出されていたレベル3のうち、106の国がレベル2に引き下げられました。
レベルを引き下げた理由は曖昧
今回の見直しの理由について、外務省の発表では「各国・地域における新規感染者数、ワクチン接種状況、感染症対策・医療体制、各種施策の状況等、各国・地域の実情を総合的に勘案した上で、今般、感染症危険情報レベルを見直すこととしました」という全般的な説明だけです。
普通に考えれば、レベルを下げるには次のような状況がそろう必要があると思います。
- 新規感染者が少なくなった
- ワクチン接種が進んだ
- 医療体制がひっ迫していない
外務省の発表では国・地域ごとの説明がないので、レベルを引き下げた(or維持した)理由はよく分かりません。
多分、レベル3の国・地域のうち、ワクチン接種率の低い国や医療体制が整っていない国を除外してレベル2に引き下げたのでしょう。

エストニアやスロバキアでは、周囲の欧州諸国と比べてワクチン接種率も医療体制も悪くないのに、レベル3のままというのは一体どういうことなのだ?
また、いまだに新規感染者数が1日20万人を超えている韓国がレベル2のままだったのを見ると、今回の見直しで新規感染者数は考慮されなかったと想像しています。今後も、新型コロナウイルスが強毒化でもしない限り、レベルの見直しで新規感染者数が考慮されることはないでしょう。
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